電子書籍と「販売部数」と

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本家で更新を始めた印刷証明付き部数の動向に関して、あくまでも印刷された紙媒体の第三者機関による数字でしか無く、電子書籍関連は含まれていない、電子書籍は最近浸透しまくっているから、紙媒体の動向を検証する値としては有効だけど、コンテンツのセールス動向の指標にはよろしくない状態となりつつあるってのを書いた。そして紙媒体の部数と電子書籍の部数を合算した、コンテンツ総部数的な公的指標が欲しいな、とも。

で、その後にちょいと頭を抱えた事例があることに気が付いた。例えばキンドル・アンリミテッド。これって有料図書館のようなもので、月額の料金を払えば、対応書籍が無料で読みまくれるというもの。そして書籍の出版側には「読まれたページ単位で」対価が支払われる。

一般の電子書籍のように、一冊丸ごと読む権利を購入し出版側に対価として支払われるってわけでは無く、ページ単位で出来高が報酬として間接的に出版側に支払われる次第。このキンドル・アンリミテッドで読まれた書籍の場合、電子書籍の販売部数としては、どのようにカウントすればいいのだろう。

冊単位で買われたわけでは無いから、現状の方式をそのまま適用すれば、ゼロか一冊になる。ゼロってのは貸与しただけで一冊丸ごと買われたわけでは無いから。一冊ってのは、図書館に貸し出し用の本として用意する場合、一冊は買わねばならないから。ただそうなると、例えば大人気で1000万ページが読まれたとしても、電子書籍としての販売部数はゼロ冊とか一冊になってしまう。変な話。

電子書籍の有料版とは違ってページ単位で支払いが生じるわけだから、紙媒体版と同様に何部売れたという計算は出来ない。と、なると、紙+電子で実売数の計算を、というのも無理が生じる。キンドル・アンリミテッド上の人気書籍は、部数の上ではミジンコ扱いになってしまう。どれだけ読まれても、どれだけ人気があっても。無論、1冊当たりのページ総数から推定部数を算出することは可能だけど(100ページの本なら、1000万ページが読まれたら10万冊売れたことにする)、でもそれも何だかちょっと変な話。

キンドル・アンリミテッドに代表されるサブスクリプション形式の販売スタイルの場合、「本を(冊単位で)購読した」といった、これまでの概念とは異なる購読のされ方に違いなく。さらにアンリミテッド版以外にも、例えば特定の回のみ安価で販売するケースもあるけど、あれは一冊単位になるのかな、とかいう問題もある。

そうなると、「電子書籍も紙媒体同様、印刷証明付き部数みたいなのを出して、電子+紙で公部が算出されないかな」というのですら、あまり意味が無いものとなってきているのかもしれない。消費者側にとっては選択肢が増えるのはよいことだけど、データの分析という観点では色々と問題が生じてくるし、開示してもらえるか否かも併せ、早いうちに考えないといけない問題の一つには違いない。

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このページは、不破雷蔵が2018年11月16日 07:59に書いた記事です。

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