なんとなく、今年に入ってから「SNSで大人気のマンガを紙の単行本にしても思ったより売れていない」状況とか「Twitterで毎回バズるマンガを描いている人が単行本を出しても思ったより売れない」状況が目立ってきている気がする。もうSNSマンガは飽和状態で、レッドオーシャンに入っているのでは?
— はぁとふる舞国土@3日目東ス26a (@keiichisennsei) 2018年11月3日
今件指摘は具体的に統計を取らないと確定情報としての認識は難しいのだけど、確かに一時期のような「ツイッターとかブログでバズった」「人気がある、集客力があるのだから市場調査をする必要無く、紙媒体で出して売れるダイヤの原石だ」「紙媒体にしたらやっぱり売れたよ」的なパターンは少なくなっている気がする。
ただこれって、そういうイージーな方程式に業界が気が付いて雨後の筍のように手を付け始めたのだから、飽和状態になるのは当然の話。これってウェブ上で雑誌掲載のように連載をさせて、それをそのまま紙の単行本化させようとかいうのと同じ。本来のプロセスをショートカットする手法を、皆が皆手をつけてしまえば、その市場でのひとつ当たりのパイが小さくなるのは当然の話。ウェブ上、SNS上で人気ってのが、一つの稀有なセールスポイントだったのだから、それを皆が掲げたらセールスポイントにならなくなる。
先日考察したのですが、SNSで全て出しのマンガはそこで終わってしまっている感じがします。ぱぱっと読めてそれでオシマイ、という。
— 茂木淳二 (@mogy_jyunzy) 2018年11月3日
SNS以外の電子媒体であれば話は違ってくると思いますが、拗れた読者側から見てもそこは危機感をビンビンに感じています。
スマホのモニター上で消費されてしまうタイプのマンガと、ファングッズとして紙の単行本が欲しくなるマンガと、ボクたち作家は、その違いを考えて発表すべきフェーズに入ったンだと思います。
— はぁとふる舞国土@3日目東ス26a (@keiichisennsei) 2018年11月3日
仰る通り、ひとつの過渡期に入っているのだと思います。先月、とある先生とじっくりお話をさせていただいたのですが、旧態依然の状況では作家・出版社・読者の誰もが色々な意味で疲弊してしまう状況にあるのではないだろうか、というトコロです。
— 茂木淳二 (@mogy_jyunzy) 2018年11月3日
田中先生の仰る通りで、最近はWEB連載とSNSと並行して進めて作品のテイストなど反応を見る事例も増えてきているのでそろそろちゃんとしたマーケティングがこの界隈でできているかどうか、ちょうど各版元が試されてくるタイミングなんだろうなと思う次第。 https://t.co/HZjgtJi6RV
— NEO萌特化書店員ギル@スク水縞パンコミックバイヤー (@gilaile) 2018年11月3日
指摘されている点も問題。実際にSNS上で展開されている漫画を単行本として読むと気が付くのだけど、話の流れとか目の導線とか、色々な観点でウェブ上の、さらにはスマートフォン上での読み方と、紙媒体での読み方ってのは違いがある。同じ漫画だからSNSでの漫画と紙媒体の漫画は同じ手法で提供してよい、というイージーな考え方をすると、魅力が損なわれることになる。同じ料理でも自宅でじっくりと腰を据えて食べる時と、キャンプ場でシートを広げて食べる時とでは、提供の仕方とか切り口を工夫して最適化しないと、旨味も半減してしまうってのと同じ。
その辺りを分かっているところもちらほら見受けられるのだけど、てんで分かっていなかったり、さらには誤解して悪手を打つところも見受けられる。試行錯誤という言葉で表現すればきれいに見えるけどね。
似たような話は従来型携帯電話に、紙媒体で掲載されていた漫画を載せるのにはどうしたらいいのかと四苦八苦した時のとよく似ている。解像度の問題もあるけど、結局携帯電話の特性と使っている人の行動パターンを熟知し、それに合わせた形でコンテンツを再構成しなきゃいけないという結論に至っていた。その再構築をしても、見え方とか特性の違いが生じるので、紙媒体で受けたものが携帯電話でも受けるとは限らないという傾向も確認できた。
今のSNSなどでバズったから紙の単行本で云々、さらにはSNSでバズったからウェブ上にきれいな形で連載として、果たして同様のウケが得られるのか。100%の成功率を期待できる方程式は作れないけど、もう少し成功率の高い、納得のいく手順は作れそうな気もするのだけどね。
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