「今の時代二度と手に入らない本などそうありません」は本の実情を知らないから語れる言葉

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大元の記事は1年前のものではあるけど、ブームでもあるしその筋の専門家がドヤ顔で語り続けているお話の一つに、「邪魔になるから本はどんどん捨てるべきだよねー」というのは確かにある。物理的なスペースは取るし重たいし、第三者から見ればゴミ屋敷と同じ認識なのかもしれない。

けれど少しでも本を収集の意味で購入している人なら、この類の話が単なる戯言でしかないことは容易に理解できる。二度と手に入らない本はある。色々な意味で。世の中から消えてしまったり、あるのだろうけど自分の捜索範囲では届かない場所にいってしまったり、手に届くけど取得することが叶わない状態となってしまったり、存在自身を忘れ去ってしまって自分の世界からは無かったものとなってしまったり。

要は、よくネタ的な形で語られる「自分の理解できない趣味のものはすべてゴミ」的な考え方なのだろうな。断捨離を仕事として、趣味として言及している人には、本はゴミ程度のものでしかない、価値を持っていないのだろう。


実際、未だに絶賛サルベージ作業中の当方には、「今の時代二度と手に入らない本などそうありません」とか一昨日きやがれ的なツッコミしかできない。それこそアレだ、インターネット上にはすべての情報が網羅されているというのと同じぐらいの妄言だ。電子書籍だってデータ化されていないのは山ほどあるし、あったとしても提供側の都合でさくりと削られたり編集されたりする可能性は否定できない(サービス提供会社の方針変更や破綻、事業撤退で云々ってのは、他のサービスに移転させてもらえる可能性はあるけど、すべてが引き継がれる保証はない)。

手元にある本が無くなったり棄損する可能性も当然あるけど、それは多分に自分自身の責にある。けど電子の場合は第三者の思惑でって場合が多々ある。それに電子化されていなければ手に入れる事は出来ない。

古本市場に存在すれば調達は不可能ではないけど、やたらと高値で手に届かないってこともあるし、ねえ。

世の中割り切りが必要で、それができなきゃいくらお金と部屋の面積があっても足りないのは事実だけど、それこそ他人の趣味を、さらにはモノを大切にしない雰囲気が強い断捨離ってのが持ち上げられるのはどうしたもんだろうかと思ったりもする。一歩間違えると失礼クリエイターと何ら変わりないようなんだけどな。

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このページは、不破雷蔵が2018年12月23日 07:30に書いた記事です。

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