サンプル市場というもの

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Amazonが試供品に特化したディスプレイ広告事業を展開すると報じられた。化粧品ブランド「Maybeline」やコーヒーブランド「Folgers」に代表されるブランドのサンプル品をAmazoの顧客の閲覧ページに表示させたり、自動的にカートへ入れておく仕組みを提供する予定だという。


過去の購買データを機械学習を通じて分析し、試供品の購買転換率の最も高いであろう顧客へ情報を届ける。購買ビックデータを握っている点からAmazonはGoogleやFacebook広告と差別化を図る大きな競合優位性を持っている。現在、同社のディスプレイ広告事業は全広告収益50億ドルの大半を占める。


アマゾンはコミュニティとしてもめがっさ大きなデータを持っているから、それを有効活用すれば試供品の提供とかも有効にできるし、その結果を反映させてさらに手元のデータの精度を高めることができる。ベイズ理論の有効活用的なものがある。

すでにアマゾンでは似たようなコンセプトとして先行試供品を提供してレビューを書かせるという仕組みを導入してるけど、それをさらに一歩推し進めて、購入しそうな人に最後の一押し的なものとしてお試し版をあげちゃうよ的なアプローチをするわけだ。

今件の場合、購入性向を後押しするというものの他に、広告そのものの注目度を高める効果も期待できる。お試し版の情報が流れるかもしれないとなれば、広告にも目を留めるようになるからね。半額チケットが添付されることがあるチラシは捨てずに読むってのと同じ。


メルカリに試供品が出回るのは少しでも利益を得ようとする思惑が多分にあるのだろうけど、買い手からすれば実物の前にお値打ちな試供品なり新中古的なもので試して、良し悪しを判断したいってのがあるのだろう。

確か以前にお試し版だけを提供するサービスとか店舗があったはずだけど、採算が取れなくてオシマイになったはず。需要があるのは分かるけど、まだ単独のビジネスとして継続するのは難しいのだろう。他のビジネスの補完とか調味料的存在としてならともかく。もちろん、お試し版のやりとりとなると、その分だけ流通量は増えるわけだから、その分の負担も気になるところ。配送料金とか、配送インフラとか、商品の管理とか。


で、オールアバウトがそれに類するビジネスをやっていたという話。これは初めて聞いた。ちゃんとサイトを作って色々できるようになってる。「事業がでかい」とあるのでびっくりしたけど、調べてみたらあくまでも売り上げで、採算性の上では主要事業のコンテンツ提供の数分の一でしかない。これが難しいところなのだろうな。

ただこの類の話、管理側のコントロールをしっかりしないと、色々と問題が炸裂する。現状のアマゾンの某システムとかコミュニティーサービスでは、システム上の不具合やカスタマーサポートのあれこれで大きな問題......というか不祥事っぽいのが進行していて、それをアマゾン側がおだんまりモードだったりする。直接本社の幹部やら社長に訴えないとこのままだぞ、という話も出てきているほど。この辺りはどうするのかなあ、という気がする。

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このページは、不破雷蔵が2019年1月16日 07:20に書いた記事です。

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