現在では当たり前のものが「登場していない世界」の難しさ

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物理的な物品の存在の有無自身ではなく、それが無かった状況下での社会様式がどのようなものであったのか。これは案外記録の類が少なくて、その状況を描写するのは難しいというお話。例に挙げられている公衆電話がいい例ではある。

ただこれって、いわゆる異世界物の作品の良し悪しを決めるポイントでもあるのかな、とふと思ったりする。異世界物とか転生物の肝ってのは、今現在の常識や技術がまったく無い世界にそれらを持ち込んで、その社会様式の違いに驚いたり、アドバンテージを見せつけたり、社会そのものを変えていくってのがポイントになる。その描写を巧みに、整合性のあるものにしていくのには、今ある当たり前のものが無かったとしたら、どのような状況になるのかをしっかりと設定しておかねばならない。

そういや「ドリフターズ」でも織田信長が意思疎通の出来る魔法の水晶玉で似たようなことを話してたな。概念の違いとか。

本があったとしてそれを読むのには、文字を知らなきゃいけないのは当然だけど、本というそのものの概念を知っている必要があるし、複数ページで構成されていて一枚一枚をめくってそこに書かれているものを読み通すということを知識として身に着けている必要がある。古代文明の遺跡から発掘された物品の用途が分からずに生活必需品じゃないかとか祭儀のアイテムではとか色々考えていたけど、これって子供のおもちゃなんじゃないかというオチだったということもあるわけだ。

この辺の設定は面倒くさいし色々と考える必要があるのだけど、それが上手くいくと世界観は格段と奥深いものになる。舞台劇なら陳腐な書き割りで創られているのか、ハリウッドもかくやという本格的なステージなのかの違いぐらい。

設定そのものを考えるのもまた、面白い話ではあるし、そういう考察を専門にしている人もいるぐらいだからねえ。

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このページは、不破雷蔵が2019年1月17日 07:39に書いた記事です。

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