transniperさんの一連のツイートを拝読して改めて思ったけど、翻訳は、ある言語を別の言語に変換するお仕事ではないという認識が何十年経ってもなかなか広まらないのはなんでじゃろ。外国語に詳しいことは必要条件であって十分条件ではない。翻訳というのは、学芸員と司書とコピーライターと作家と記者
— 葛葉 (@Cuznoha) 2019年1月30日
と随筆家と冒険家と趣味人とオタクとその他諸々を混ぜたような仕事であって、言語変換は業務の一部分にすぎない。先日「AIが私を置き換えられるとは思えない」と書いたのは、別に、俺はスゲえ翻訳家なんだぜwwwwと自惚れているからではない。AI翻訳の設計思想、現状レベルのAIを翻訳に活かせるという
— 葛葉 (@Cuznoha) 2019年1月30日
発想そのものが根本的に間違っているから。文章に込められた意図を別の言語で表現することではなく、字面を読み取って正確に精密に変換することが翻訳であるという設計思想から離れないうちは、水準以上の人間翻訳者をAI翻訳が上回ることはあり得ないと考えているから。
— 葛葉 (@Cuznoha) 2019年1月30日
グーグルの自動翻訳の精度が上がってきて、直訳というか文意をスルーしてもいいレベルのものなら、それなりに読めるようになってきてはいるのだけど、ちょっと込み入った下りになると首を傾げる訳文が出てきて、原文を見ないと変わらないよな、という状況はいまだに生じている。昔のような単語レベルで訳したものをくっつけただけってのと比べればはるかにマシではあるのだけどね。
で、大元の話は当方には伝わってきていないのだけど、翻訳ってのは単に英語をはじめとした海外語を母国語に変換するだけでなく、文意を読み取って正しく解釈して母国語に換えることが必要になる。ガンダムのことを知らない人が海外のガンダムの語りをそのまま日本語にしても、それぞれの単語の意味は間違っていないけど、トンチキな内容になってしまいがちってのがいい例。ああ、例の映画翻訳家の某有名な人の翻訳が超好例になるのかな。
要は、語られている元の背景や専門的状況を推し量った上で咀嚼して変換しなきゃならない。文化が違うのであればそれを考慮した上で説明しないとトンチンカンな訳ができてしまう。その解釈までもAI翻訳ができるようになるのには、もう少しどころかかなりの技術進歩が必要になるだろう。コスパのことを考えると開発すらされないかもしれない。
他方、この「単なる変換では無く、相手の意図や背景までを推し量って分かりやすい言葉にする」ってのは、報道に求められていることにも共通するってのが頭に浮かぶ。「分かりやすく正しい」が原則だからね。それを報道ができているかというと、正直首が獅子舞状態で傾げられてしまう。機械翻訳よりひどい質の報道記者っていうと、何だか言い得て妙ではある。
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