高齢の戦争体験者の取材についてたまに相談を受ける。先方に自分の言葉で喋ってもらわないといけないから「やっぱりですよね」のような「はい」か「いいえ」でしか答えられない質問の仕方は避ける、耳が遠く、生返事のことがあるので注意する、記憶していないことで追い詰めない。それだけでも違う。
— 神立尚紀 (@koudachinaoki) 2019年2月20日
あとはやはり、相手のことをよく見ること。話す時の仕草や表情をちゃんと見ないと、同じ言葉も文字にした時に全く違うニュアンスになることがあるから。あと疲労の色を感じたらすぐに切り上げる勇気も必要。私はテレビ局のロングインタビューのあと、再起不能なほと体調を崩した人を何人か知っている。
— 神立尚紀 (@koudachinaoki) 2019年2月20日
今件はいくつかの要素を含んでいて、まずは高齢者へのインタビューにかかわる問題。記憶が曖昧になっていたり、話す対象の事象の後の経験が記憶を上書きしていることもあるので、その点には要注意。語った内容をそのまま書き起こすだけでは単なるテープ起こし。その後に明らかな間違いなどがあれば、その記事において注釈をしておかないと、誤認された情報がそのまま事実として流布されてしまう。「こう思っている、こう感じた、このように記憶している」と「事実の内容」とは別物だからね。同じ事故現場の状況説明をその場にいた別々の人にしてもらっても、それぞれ別の内容になるってことですら、よくある話。
そして高齢者へのインタビューは体力を使うから、相手の状況を見極めて適時に終わらせることも大切。
また、これは高齢者相手に限らないけど、相手の仕草をよく見極めることも不可欠。同じ文言でも仕草や表現で、意味する内容がまったく別物になるってことも多い。加え、尋問のような質問は避ける。
それと、録音はした方がいいと思うが、取材の基本はメモを取ること。相手の話を聞きながらメモを取るのはやや訓練を要するけれど、それだけ集中しないと。それに、あとからレコーダーの文字起こしをするには、インタビューの3倍は時間がかかる。録音データはメモの補完程度に考えておくのが吉。
— 神立尚紀 (@koudachinaoki) 2019年2月20日
NHKのニュースウォッチ9、キャスターの「〜ですよね」と「〜と思います」という言葉遣いが耳障りで仕方がない。念押ししたり同意を求めてどうする、アナタの主観はニュースではない、と思う。笑ったり顔を顰めたりしてないで、ファクトを淡々と伝えられないものか。これはインタビューにも共通する。
— 神立尚紀 (@koudachinaoki) 2019年2月20日
録音データは技術の進歩で起こしもある程度は楽になったけど、状況を含めたテキスト化となると、やはり時間はかかる。また、メモを取っておかないと構成が把握しにくいのも否定しない。メモは全文書き起こしではなく、重要だと思った部分のまとめだから、骨組みが見えやすくなる。
...ってあれだ、これ、今の報道界隈がやっているやらかしそのままだな。例に挙げられているNHKのニュースに限らず、この類のダメな例をそのまま行っている事例、結構あるよね。番組の、キャスターの思惑の補完やら補強やら裏付けのために、インタビューなり意見をしているわけではないのに、事実上そんな感じになってしまっている。要は今の報道って、基礎部分ですら出来ていないってのが目立っているのだな。
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