言うだけならタダだけど、相手にとってはダメージだよ

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大元のブラジルでの話がどこまで事実なのか確かめようがないのだけど、日本の企業でのあれこれを見聞き体験した限りでは、確かにこの類の話は頻繁にあると言わざるを得ない。「まかりまっか?」的なお話は企業間、企業と個人の間でも日常茶飯事的に起きてくる。まぁ、買い物でのやり取りならば、元々そういう折衝が前提で値付けされているからって説明されれば、そういう相対取引もあるんだろうなあ、という気はするけど。

ただ、その類のやり取りにしても、何らかの理由づけをしてくるのが普通ではあるし、逆に条件をプラスしてその分対価を上乗せするってのが筋ではある。それを、何の条件の変更も無く、ただただ単に安くしろって言ってくるのは、確かに相手に対する損の強要に他ならない。

...ってここまで書いて気が付いた。損の強要をするってのは脅迫と似たようなものではあるし、「言うことを聞かないとこの取引そのもの、さらには今後の取引や所属している組織の他の取引もダメにしちまうぞ」という含みが多分にあるのだな。対象が個人ならば「仕事そのものをあげないぞ」というところか。つまり、圧倒的に有利な立場にあるという無意識的な思惑があるからこその対応だといえる。デフレ時代で仕事を切られたら生きていけないから、仕方なく値下げの強要にも応じざるを得ない。

この類の話が横行するってのは、そのような環境自身がおかしいってことなんだろうな。デフレの環境は取引の常識をも歪めてしまう。言ってる側は「言うだけならタダだし」と思っているかもしれないけど、言われた側は具体的なダメージを受けている。了承してしまえば金銭的なダメージともなる。

この類の良識に欠けた折衝スタイルを覚えてしまっている人達が意思決定レベルに存在するってのは、ビジネスそのものにおいて大きな損失となる。いまだにちょんまげ袴のスタイルで、馬に乗って出勤してくるようなものだからね。


「王様の仕立て屋」でも常識を超えたスピードでの仕立てをお願いする時には特急料金を要求する。少なからぬ客は驚き、拒否反応を示すけど、対価の必要性を認識する人はちゃんと支払いを済ませ、仕事の出来を待つ(作品の話以外に、料金に納得できずにキャンセルしてしまうケースもあるのだろうけど)。

何の理由も無く値切るってのは、要するにその仕事の評価を下げているってことでもあるのだよね。「言うだけタダ」と思ったら大間違い。相手の評価を下げて表明しているだけでなく、自分自身の鑑識眼を疑われることでもあるのだよ。

この類の話って、例えば「予算が無いのでボランティアで」「社会貢献になると思って無料で」「次はもっといい仕事を回すから、つなぎをつくると思ってこれだけの予算で」って類のと同じだからね。相応の仕事には相応の対価を。これが原則。気持ちはそれに実対価で上乗せ。

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このページは、不破雷蔵が2019年2月26日 07:30に書いた記事です。

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