SNSで投稿された写真や動画を報道が取得して使おうとする時、どうして謝礼が支払われないのか

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ソーシャルメディアの普及と浸透率の向上、写真や動画を容易に撮りアップできるスマホンの一般化に伴い、ごく普通の人がある日突然事件記者となったり、報道スクープ的な素材をアップする機会が得られるようになった。一億総報道記者というやつで、そもそも報道って不特定多数に知らしめること、その力を持つ存在のことだから、スマホとSNSがあれば誰もが報道の立場になれるよね、とは普段から力説している話で、写真や動画の取得ってのは、まさにそれが体現化されたまでのお話。事件は日常の中で起きているんだ、的な。

そのような状況下で、一般報道がSNS上の素材を取得して報道に使おうとする際に生じる問題がこれ。謝礼が出るのか否かを聞いたら「うちの規約では無いよ」というもの。ツッコミでクレクレ厨とどこが違うのかというのもあったけど、まさにそんな感じではある。

逆に、朝日新聞が提供する動画とか画像には、相応の対価を取るのだけどね。うちはアリだが貴方は無し。そうしないと儲けが最適化できないじゃないですか、というところだろうか。最近ではこの類に加え、提供を受けた動画や写真で何か問題があったら報道側には何の責も無く、撮影した側の責任になるという注意事項まで設けているところがある。傍若無人というのか唯我独尊というのか。

この類の話に関しては、「謝礼を支払う仕組みにすると、それを狙ってフェイクネタが投稿されるようになる」という指摘がちらほらある。でもフェイクネタが投稿されたとしても、それを精査するのは報道側の問題であるので、撮った写真や動画をタダで使わせろという理由づけとしてはかなり弱い。そしてフェイク投稿のリスクは専門の記者やジャーナリストなどからの買取の場合も同じ。社内記者だってノルマ達成のためとか信奉の充足のためとかでフェイクを投稿することもあるし、買取をしている専門のジャーナリストや写真家だってそういうことはある。

というか、そのような考えをしている時点で、SNSにおける写真や動画の投稿者を見下している、素材を道端に落ちている石ころのように見ている感はある。石をただでもらって何が悪い、的な。


あれかねえ。通信社から記事を買うってのも同じ話だろうし、社外写真家とかからのも同じでしょうに。そういうところからの素材にも「謝礼は用意しておりません」と断るつもりなのかな。違うよね、ちゃんと払っているよね。ってことは、相手によって払う・払わないの判断をしているわけで、これはとても失礼な話ってことになるのではないかな、と。

第一、指摘にもあるように、社内取材や既存の専門家から取得した素材ですらフェイクは日常茶飯事化しているし、今回の話のようにSNSから無料で受けた素材でも実はネタ写真や動画でしたと判明して赤っ恥を受けるような事例がちらほら見受けられるし。

色々な意味で、今の報道界隈は旧態依然な経年劣化状態にあるのだろうな、という感はある。

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このページは、不破雷蔵が2019年4月30日 07:52に書いた記事です。

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