国民生活基礎調査の最新版発表と「高齢者 約半数が収入年金のみ」という報道と

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年金や恩給をもらっている高齢者世帯について、これらの収入が総所得の100%を占めると答えた割合は51.1%と約半数だった。恩給の受給者はごく限られるため、収入源が年金のみの高齢者世帯が相当数を占めるとみられる。

年一で国民の生活様式を多様な面で精査する厚労省の調査、国民生活基礎調査。来週ぐらいに出るかなと思っていたら、もう出てしまいました。色々と精査しなきゃならないデータがあるんだけど、これは前倒ししてやるしかないのかなあ、と頭を抱えつつ。

国民生活基礎調査が取り上げているテーマは色々あるんだけど、この時事通信の伝え方は一体何なんだろうかと頭を傾げたり。そもそも随分と前から高齢者世帯の半数程度は、所得がすべて公的年金だってケースだったし、記事にもある通り最近では微減傾向にある程度。しかもこれ、関連する本家記事では繰り返し注意をしているのだけど、所得はあくまでも所得であり、貯蓄の切り崩しは含まれていない。銀行からお金を下ろしても所得には勘案されないってこと。

要は時事通信としては、最後の一段落をドヤって扇動するために、必要な部分を抽出して詳しい説明をせずに、もやりとした形で騒ぎたいってところだったのだろう。「公的年金以外に2000万円の蓄えが必要」ってのは随分と前からデータとしては出ている周知の事実ではあるし、それはあくまでも平均値での話で目論見、指標以上の意味合いはないし、そもそも前提がえらいことになっているのが前提なのだけどね。

先日のNHKでもこの年金問題に絡んで、当たり前の話をさも疑惑であるかのように報じるものがあったし、昨今の報道の偏向ぶりはどうしたものかという感は否めない。否めないことばかり。


細かい精査は後ほどになるけど、ざっと見・関連する話を二つほど。高齢者世帯の所得の動向としては、公的年金だけでってのが51.1%。あとは20%区切りで大体当分。公的年金が所得の2割未満って世帯も4.1%いるけど、こういう世帯は多分に私的年金とか不動産収入とかなんだろう。国民生活基礎調査は単身世帯も二人以上世帯もごっちゃになってるから世帯人数によって年金の額が大きく変わってくるために、ちょいとややこしくなるのだけど、国民・厚生年金合わせて20万前後/月の世帯(夫婦世帯)において、その金額が所得の2割足らずってのが4.1%いるわけだな(年金受給しながら就業すると年金減額制度に該当する場合もあるけど)。

あとはくり返しになるけど、これはあくまでも所得の話。蓄財から切り崩して生活費に充てている場合、その額面は所得とは別勘定になる。この辺り、ご注意を。


あとは世帯あたりの平均所得の話。全体の平均所得が下落傾向にある、今回年は前回年比でマイナスになったという辺りで騒ぐ人がいるのだけど、これは景況感の変化に加え、特に今世紀に入ってからは、世帯構造の変化によるところが大きい。二人以上世帯よりも単身世帯、若年層よりも高齢層の方が、所得は小さなものとなる。それらを全部集めて平均かするのだから、所得が小さい属性の世帯数・割合が増えてくれば、平均値も下がるのは当然の話。本来なら現役世帯限定、単身世帯と二人以上世帯それぞれの値が欲しいのだけど、国民生活基礎調査ではその類の区分はしていない。

代替措置としてはそのような視点での差異が出にくい、児童のいる世帯とか高齢者世帯の動きを見るのが無難(高齢者世帯は最近では、より高齢な世帯の割合が増えているので、平均の動きを見るのはいくぶんリクスが大きいけど)。バブルとその崩壊、デフレ不況、最近の景況感の回復ぶりが非常によく分かる値の動きとなっているのだな。

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このページは、不破雷蔵が2019年7月 3日 07:57に書いた記事です。

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