重版の良し悪し

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当初作成した製品がほぼ品切れとなり、それでも需要が多分に推定、あるいは確定できるために、再度生産し直すこと。印刷業界などを中心に、このような事態を重版と呼んでいる...というか原則は印刷業界だけか。で、厳密には今現在言われている重版ってのは、大元の重版以外に増刷も混じってるなあ、という気がするけど、それはさておくとして(増刷は単に既存の版を刷り増しすることで、何の変更も無し。重版は何刷というバージョンアップで、単なる増刷と比べるとコストが上乗せされる。修正を加えたりとか間違いの訂正はこちらで行われる)。

確かに最近出版物で重版かかりました、的な宣伝行為が増えている。当初の思惑よりもたくさん売れて、重版が必要になるぐらいだよってのはアピールとしては大きなポイントになる。それだけ売れているのならちょっと見てみるか、と考える人も多い。作り手にとってもさらに上乗せして売れるのか、というハッピーな気分。お金回りだけじゃなく、ファンが増える、支持されるってことだから。

他方、この重版云々があまりにも多出すると、元々数を抑えて重版がかかりやすいようにしているのでは、との疑いも生じてくる。食品系の新商品でよくある、あるいはよく疑われるアレである。売り切れ詐欺というヤツ。

当方は中の人では無いからその実情は分からないし、中の人であればこの類の真相は絶対に口に出さないはず。企業秘密だものね。ただ、食品系の話でも言及したけど、この類の「売れすぎて困っちゃう、目論見が外れた」ってのは、本当に売り切れて一杯売れているというアピールをするぐらいにしか作っていないという、意図的な渇望感想起以外に、生産する側・売る側による実売がどれぐらいになるかの目論見が出しにくい世の中になっているのでは、という可能性もある。見通しが立ちにくいってやつね。そしてその理由としては、売れる・売れないの要素が多様化・複雑化しているのと、ネットなどの情報ツールの浸透で突風が吹きやすくなったってことがあると思う。

加え、出版社側の体力が落ちている、リスクを極力抑えたいという思惑が大きくなっていて、余分に作っておくということがしにくくなったのも一因かもしれない。常にぎりぎり作って、売り切れてさらにたくさん売れる可能性があるのなら重版すればいい、宣伝にもなるし。ちょっと足りない位なら売り切れて在庫が空になった方がいい、少々の販売機会損失など、在庫を抱えるよりはマシだ、という考え方。作者からしてみれば、たまったものではないし、だったら自分で管理ができる電書やら同人誌に行くよ、と言われても仕方がない状況。


なお指摘されている通り、重版ってのは見方をかえると、見積もりが甘かった失敗の結果でもある(長期にわたった上での話なら別だけど)。一度にまとめて作ればそれだけ単価が下がるから、出版社ももっともっとハッピーになれる、はずなんだけど。ただそういうことをいうと「最初からたくさん売れる作品しか本にしないよ」といいだしてしまうんだよねえ......って現状が半ばそんな感じなのか。

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このページは、不破雷蔵が2019年7月 8日 08:04に書いた記事です。

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