「売れていないから買って」とする宣伝はどうだろうか

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具体的作品を指摘することは留めておくけど、ここ数日ある連載漫画で「単行本の売上が今二つ三つぐらいなので連載終了」という話を担当から切り出された、こういういきさつなのでどうにか継続するよう買ってほしい的な話がツイッターのタイムラインを乱舞している。状況そのものはこれまでにも何度となく繰り返されたパターンで、現在のマンガ業界の一端が改めて示されたまでの話ってことになるのだけど。

該当作品っていったいどんなものなの? というのが率直な感想ではあるし、引用元の方も同じような感想を抱いている。状況は分かっても、その状況を打破するために必要なアピールがされていないので、手を出してよいのかどうか決めかねている人がほとんどだと思うのだな。料理屋さんで「うちの料理は美味しいです」ではなく「お客が入らないと店がつぶれちゃうから入って」と宣伝しているようなもの。

お客になりうる立場にいる側としては、その宣伝だと「連載を続けてほしいから」「店がつぶれてほしくないから」という動機が無いと買わないし入らないけど、なぜそれに至るのかの理由が出てこない。作品の内容や料理の味を知らない人にとって、いきなりそんなこと言われても、というのが実情だろう。

これって結局のところ、宣伝とかプロモーションの基本的なところで、ターゲットとなる層の見誤りとか、そのターゲットが何を望んでいるのか、何を提供すればお客となるのかが分かっていないのだよね。単に訴える側が自分の思いをアピールしているだけ。

そのメッセージを受けた側が「連載が続くのには単行本が売れなきゃならないよね」「単行本っていうけどそもそもその連載作品ってどんなのだろうか」「作品はどのような内容なのか、自分で調べてみよう」ってプロセスを踏んで、その上で判断して「自分の好きな作品っぽいから買ってみようか」というところに行き着く人はあまりいない...というかそれほどの労力を投入するぐらいなら、自分の好きな作品に手を伸ばした方が早いと思うのがオチ。

この辺って本来なら編集などの出版側がやってくれなきゃマズいんだけど、それを素人であることが多い作家側に任せてしまうような状態になっているから、残念なことになってしまっているのかもしれない。

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このページは、不破雷蔵が2019年10月 2日 07:19に書いた記事です。

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