コンビニが読書需要を掘り起こしているという話、だけど

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出版不況やネット販売の台頭に伴い、本を実際に手に取って買える書店が減少する中、コンビニがお客と本を結びつける場として注目を集め始めている。限定本の発行、書棚の設置、書店との協業...。コンビニは新たな読書ニーズを掘り起こせるか。

要は中小書店が経営者の高齢化や儲けが出やすい雑誌需要の減退でお店を閉じる中、コンビニが書籍などの本を置くようになった、文化発信機能をも期待されているという話......だけど、多分に「過度の一般化」的な詭弁記事の感は否めない。

そもそも中小書店が相次ぎ閉店しているのは、高齢化した経営層が引退する形でとか、アマゾンなどのネット通販に客を取られているからってのもあるけど、同時に儲けが出やすい&固定客を得やすい雑誌の需要をコンビニに取られていた時代があったから。ところがそのコンビニも立ち読み客とか採算性の問題で、雑誌や書籍を取り扱いしないという方向性に動いたのが数年前の話。何度か記事にもした記憶もある。

で、記事にあるような昨今の動きは、中小書店の閉店が思った以上に進んでいるので、コンビニ側がそれで生じた取りこぼし的な「商材としての本」を取り扱いたいと思ったまでの話。同じような動きは大型食品スーパーとかデパートにも見られるけど、それらをよく見れば分かる通り、取り扱っているのは客層にマッチした上で、いかにも売れそうな、回転率のよいものばかり。本屋っぽいけどよく見ると本屋の美味しい所どりで本屋とは違う。

日販の「出版物販売額の実態」によればコンビニにおける出版物売上高は減少中で、今世紀に入ってからのピークの2002年度には5157億円だったものが、直近の2018年度には1445億円にまで減少しています。コンビニの総売上に占める出版物比率も7.0%から1.2%にまで落ち込んでいます。


「コンビニが読者を呼び込む」のは事実かもしれませんが、それはあくまでも売れ筋、置けば高い確率で売れるものに限定されます。記事中の関係者の言及からも、思惑として「書店の代替」ではなく「売れ筋商品のコーナー作り」であることが分かります。書店が無くなった事で宙に浮いた需要を確保したまでの話です。似たようなパターンはディスカウントストアや大型食品スーパーでも見受けられます。

実書店のような充実さを求めるのには、店員の負荷が大きすぎます。置いておくだけで高回転率を示す対象の一つが(売れ筋の)本になったまでの話です。


コメントでも書いたけど、スーパーとかコンビニに本屋の役割を果たさせるのは荷が重たすぎるしコストがかかりすぎる。そういうところに置かれる本ってのはあくまでも売れそうな商材の一つに過ぎず、おにぎりとかレンチン食品とかたばこと同程度のものでしかない。

コンビニなどでも雑誌以外の本が置かれるようになったこと自体は喜ばしい話に違いないけど、過度の期待を持つとか本屋同等になるという期待はしない方が良いのではないかな。

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このページは、不破雷蔵が2019年12月 1日 07:25に書いた記事です。

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