半年ぶりの 「国の借金」警察参上

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財務省が10日発表した、国債と借入金などの残高を合計した「国の借金」は2019年12月末時点で1110兆7807億円となり、過去最大を更新した。


同年8月1日時点の日本人人口(1億2388万人)を基に単純計算すると、国民1人当たりの借金は約896万円に上る。


日銀の国債周りのデータは四半期単位で公開されるので、いわゆる「国の借金」報道が出てくる可能性は3か月ごとにあるのだけど前回は目立った報は見当たらなかった。ツッコミが多かったのでなくなったのかなと安心はしていたのだけど、先日再び登場したので、「国の借金」警察参上と相成った次第。

記事タイトルだけでなく本文にも使われていて、さらに人口で割るというテンプレなスタイルまで採用しており、典型的な、見本となるスットコ報道。

記事題名にも本文にも使われている「国の借金」は日本国政府が発行している国債(の額)を示しますが、この表現は「借金」の対象が日本国全体、国家組織や所属企業、民間人のすべてに至るまでとの誤解が生じます。国債は日本国政府による借入金。「国の借金」の表現はたとえ鍵カッコを使っても不適切。日本国債の約9割は日本国内で購入され、その額は日本国民の債権です。さらに日本国債は円建て。


日銀が得た利益(国債の利息)のうち経費や税金を支払った後の剰余金は、準備金や出資者への配当に充当されるものを除き、国民の財産として国庫に納付されます。さらに政府は日銀の株式を55%保有し、配当も受け取れます。

「国の借金」の表現は国債を悪しきものとしてイメージさせる思惑があり、報道記事としては疑念を生じます。ちなみに日本の対外純資産(対外資産と対外負債の合算)は3.081兆ドルで世界第一位です(IMF公開値より)。


一応いつものツッコミはしておいたけど、色々と考えてしまう。何度指摘されても同じような報道が繰り返されるのは(つっつこみを入れているのは当方だけではあるまい)、報道側が意に介さず状態なのか、間違っていても分かりやすいものであればそれでオッケーというスタンスなのか、あるいはどこかからこのような言い回しを使うようにという指導がされているのか。

公開質問状でも提示した方がいいのかな、とも思ったりするのだけどね。

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このページは、不破雷蔵が2020年2月11日 07:09に書いた記事です。

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