「ネット上の意見」は往々にして都合の良いお話の抽出

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大衆雑誌や新聞の政治系の記事で最近見かける機会が増えて来たパターンとして、「ネット上で注目」「ネットで話題」「ネットの意見としては」というものがある。ネットを事実上ほとんどやっていない人、使っていてもその方面での情報精査をしていない人は、新聞や雑誌でその類のフレーズを見聞きすると、自分は見かけていないけどネットで話題ならば多分の人が同意見なんだろうな、という認識をしてしまう。

けれどそれは本当に、ネットの上で多分に話題に上っている、同じ意見で占められているようなものだろうか。先日の「東京脱出」が良い例だけど(【ニュース記事のタイトルにハッシュタグは含めるな(強い提言)】)、その多くは書き手側が都合の良いものばかりを拾い上げて、それをネット全体で大いに流行っている、話題に上っていると表現してしまうものな気がする。要は主張を後押しする、裏付けをする、信ぴょう性を高めるために、「ネット」という得体のしれないところからの援護射撃を装っている感じ。

これって「専門家」という名の都合の良い肩書を持った役者に、話の主張を肯定してもらう、権威づけてもらうために語ってもらうのと同じ方法なんだよね。「ネットで云々」ってのは役者を呼ぶ必要も無いので、さらにローコスト。

新聞に限れば、例えば新聞の投稿欄「読者の声」と同じ方法論。誰が投稿したのか分からないから、極論として社内の記者でもかまわない。その中で新聞側の都合の良い事を語らせれば「読者も多くが同じようなことを考えているのか、ならば記事の論説は正しいのだな」という錯覚をしてしまう。プロパガンダとどれほどの違いがあるのか。

ネットの声の場合は、検証してツッコミを入れることができるのが幸い。ただツッコミを入れてもどこまで有効かとなると、疑問視せざるを得ないけど。そういう類のを検証する専門機関でもあればねえ。

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このページは、不破雷蔵が2020年8月20日 07:45に書いた記事です。

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