友だちのミュージシャンが言ってたけど、ここ数年「いきなりサビを持ってくる」曲が急増したらしい。理由はSpotifyなどのストリーミングが増えたから。冒頭で引き込まないとサビの前にスワイプされちゃう。せっかくのいい曲も、この事実を知っているのと知らないのでは届き方が全然違ってくるらしい。
— 松尾幸治 | リチカ (@yukiharuharu) September 16, 2020
どこのジャンルも同じ現象が起きていますね。ゲームも冒頭に面白い部分を触ってもらう手法が多用されますし、映画も小説も冒頭の入りが大事と指南されますし、Youtubeもテレビ番組もOPに見せ場のカットを挟みますし、ラノベに至っては題名の時点でツカミを入れる工夫が求められています。 https://t.co/74drDRAbda
— 真弓創 (@nofun1978) September 17, 2020
娯楽の選択肢が増えて、面白いかどうかを判定してもらうまでの猶予時間はどんどん短くなっています。最短最速で面白さを届けるプレゼン合戦です。いつだったか、前奏がない曲が増えたというデータを見た覚えがあります。今の子は『LOVE PHANTOM』の前奏が終わる前に次の曲を聴きに行きそう。
— 真弓創 (@nofun1978) September 17, 2020
動画文化のスピード感に慣れた人たちに合わせて、アニメや音楽も作られているという意見に様々な反応「3話で首が飛んだのも今ではもう遅いのか」 - Togetter https://t.co/1VdERwbiXi @togetter_jpより
— 不破雷蔵@ガベージニュース (@Fuwarin) September 18, 2020
例えば同人誌なんかだとサンプルとして提供されている数ページ分が、実は全体のクライマックスというか一番の見せ場であって、実際に本誌を買ってみたらサンプル以外はすべてオマケみたいだったという話はよくある。R18系動画とかゲームのサンプルソフトも然り。
サンプルでないにしても、初めの部分で相手をつかまないと、さくりと逃げてしまうという話はよくある。先日も某漫画でお茶のレシピがタイトルに上がっていたけど、3話まで見た時点でお茶の話がほとんど出てこなかったので止めたというのを見て、ああそういうことかと実感したり(実のところはもう少し先でお茶の話が本格的に出てくるし、ストーリーの基幹にもなっている)。
元々「つかみはOK」という有名なフレーズもあるし、最初の部分で引き留めができないと他のところへ流れてしまうという傾向は昔からある。例えば初代のガンダムで、数話をかけて主人公のアムロの生い立ちや周囲の生活環境を説明し、ガンダムやザクが出てくるのは5話ぐらいからだったら、どれだけの人が食いついていただろうか。
ただ必要な時間が短くなっているなというのには同意(元々この類のは経年調査されているはずもないので実数は確認できないけど)。コンテンツそのものの量が増え、しかもその利用時間が短くなっているため、言葉は悪いけど短気になっているという感じ。遊園地で待ち時間が長いアトラクションで待てるかどうか、他にもたくさんの面白いのがあれば、並ぶのは諦めて他のところに行ってしまうだろう。そのアトラクションがどうしても遊びたい対象でない限りは。
これって結局のところ、ネット上の記事の展開における方法論と何ら変わらない。ネット上の場合はさらに量が多いのと容易に代替しうるものばかりなので、タイトルの時点で読む・読まないが選択されてしまう。「つかみはOK」をタイトルでやらなきゃならなくなる。ラノベやなろう系の小説とかそのコミカライズ版も同様だろう。
PS時代、某ゲームが冒頭だけ面白くて、中盤以降はダレる。でもフ○ミ通レビューで満点取ってて、これはクロスレビュー対策なのか?って疑った記憶がありますw そりゃ掴みは大事ですけど、中身も美味しいものを食べさせて欲しい https://t.co/n5E8N8e0gM
— karzusp (@karzusp) September 19, 2020
ゲームもまた然り。つかみがよければ雑誌などでの高評価を受けやすくなるので、売れる可能性も高くなる。また、全部気合を入れるよりはローコストで済むので、費用対効果が高くなるから、ゲーム制作サイドは優秀と言う判断が下される。
でもねぇ。料理はお通しとか前菜がすべてではないのも事実なんだよね。つまみ食い程度のことを繰り返して満足するのならそれでいいのだけど、そうでないものは、しっかりと全体像としての完成品が欲しいのだよね。
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