映画とテレビと娯楽と

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映画館長者的な存在がかつては存在していたというお話。動くものは娯楽としては当然楽しいし、日常生活には無い「ハレ」の時間を過ごせるとなれば、それこそ海外旅行とかディナーショーみたいなポジションだったのだろう。そもそも生活様式とか情報の位置づけとか価値観そのものも大きく違っていたし。

ただ、映画館の入場者数はもう少し前から急速に減少を始めていて、1970年代初頭にはすでに2億人たらずにまで減り、ほぼ横ばい状態にシフトしていたんだよね。だから昭和40年代までは儲かっていたというのは、ちょっとタイミングがずれているかもしれない。昭和40年代初頭ぐらいまで、かな。


ライバル視されているテレビの普及率を見ると、1960年代半ばまでにはほぼ9割にモノクロテレビが浸透していた。映画館の利用者が急減したのはこれが主要因だろう。さらに1970年代に入るとカラーテレビがモノクロテレビに代わって普及し始め、映画の利用客はさらに減っていく、と。

無論映画には映画なりの魅力があることには違いない。それでも「動く映像」という魅力の観点に限れば、テレビでも十分代用できた。しかも自分の選択で好きな番組を選ぶことができる(当然その時間に放送されているものに限る)。新聞もテレビ欄を確認するツールとして大いに役立ったことだろう。

環境が変われば、社会が変化すれば、需給も変わっていく。映画館はいまだに魅力的なスポットではあるけど、少なくとも過去のようにお金持ち製造機みたいなものではなくなっているのは確かな話ではある。

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このページは、不破雷蔵が2020年9月21日 07:58に書いた記事です。

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